一発目の鬱はすぐに克服した
俺が鬱にやられたのは2007年の冬。
バイト先の塾で授業中に吐いて動けなくなって、そのまま「鬱」判定くらった。
でもその後もすぐに仕事に復帰した。
一人暮らしだったので、働かないという選択肢はなかったのだ。
正社員だったら有給とか社会制度も使えたかもしれないけど、学生だったし。
というわけで、抗鬱剤を飲んで出社。
毎日食後に5錠のクスリ、加えて授業の直前には頓服薬でクスリずぶずぶだった。
でも今思えば、ちゃんと働いてて偉いと思う。俺はその後生活保護受給者に成り下がるんだから。
問題は、月イチの保護者へのレポートや電話の問合せ、保護者面談なんかだ。
俺は間接的にも保護者に触れるのがダメだった。少しでも嫌な評判を耳にすると、すぐに熱を出し、次の日は大学に行けなかった。
具体的には、38度程度の熱が出て、めまいで動けなくなる。立つと吐く。解熱剤は効かない。どうしようもないでしょ?
バイトはいくらでも探せたが、生徒たちを捨てるわけにはいかなかった。
あいつらには受験がある。いろいろ教えてやったし、ちゃんと成果も出ているんだ。しっかり合格させなくちゃいけない。
そんな風に葛藤しながら、俺はクスリでごまかしながらなんとか生き延びていた。
そこを支えてくれた彼女の存在は大きい。動けない俺に、いつも食べ物や飲み物、クスリを与えてくれた。ときには玄関で倒れたままの俺をベッドまで運び、服を着替えてくれた。
俺から電話しなくても、「おかしいな?」と思ったらすぐに駆けつけてくれた。
よくやるよ。逆にお前、大丈夫かよ?
でも愛情ってのは本当にすごい。結局、1ヶ月分のクスリを飲み終えずに俺は克服した。
保護者とは距離をとり続けたし、絶妙に手を抜いていたけど、ふつーに働けるようになった。
「ハッ!なんだ、鬱なんて甘えじゃないか!」とすら思った。このときは。